今後の不動産市況はどうなる?〜2020年のレポートを読み解く〜

コロナ危機が不動産に与えた影響

2020年は新型コロナウイルス確認、緊急事態宣言、オリンピック延期、「Go Toトラベルキャンペーン」の実施と中止など、新型コロナウイルスに振り回された一年でした。
こうした中で、不動産はどのような影響を受けたのでしょうか。

不動産投資に関する情報サイトとして最も歴史のある「健美家」が公表した『市場動向年間レポート2020』や『不動産経済研究所 マンション・データニュース』等のデータを読み解いていきましょう。

●販売戸数:2020年上半期(1~6月)に供給された投資用マンションは3,484戸。前年同期(2019年1~6月)の3,196戸と比較すると、288戸、9.0%の増加。

●価格:中古の投資用区分マンションの平均価格は1,494万円。前年1,566万円と比較すると4.6%の減少。
首都圏の平均価格は1,757万円(前年1,889万円、7.0%減少)。全国平均より価格下落率が高くなっている。

●利回り:中古の区分マンションについては利回りの上昇傾向。全国平均で7.68%(前年比0.31%上昇)、首都圏で7.06%(前年比6.7%上昇)。
一棟アパート、一棟マンションは利回り下降の傾向が見られることから、これから不動産投資を始めるのであれば、中古市場では区分マンションが有利な状況と言える。

ここまでの数字を見るとマンション投資に関しては中古の区分投資マンションの価格がやや下がったものの、販売戸数や利回りには悪影響が及んでおらず、影響はさほどないといって良いかもしれません。

では今年の市場は?

●販売戸数:2020年の投資用不動産の販売数は微増しています。現在のところ、販売戸数が急激に増える要素が特にないことから、今後もしばらくはこの状態が続くのではないでしょうか。
東京都区部には、2000年代頃よりワンルーム規制が強化されたためワンルームマンションが今後爆発的に増える可能性は低いと考えられ、供給過剰による競争率の激化や空室数の上昇といったリスクについてはさほど心配する必要はないのでは、と考えます。

●空室率:東京都区部を例にとると、緊急事態宣言下においてテレワークの普及による「都心離れ」から都心マンションの空室リスクが上がるのではという予測がなされていましたが、実際は東京都の人口自体は増え続けています。都心不動産には安定したニーズがあります。空室リスク増加の心配はさほどないといって良いのではでしょうか。

●金利:例えばフラット35の金利は債券市場の金利と連動していること、さらに不動産投資ローンと長期国債金利は正の相関関係にあること。この2点から、『フラット35の金利が上がる局面には、不動産投資ローンの金利も上昇する』ことが予想されます。しかしながら、コロナ禍における経済状況の冷え込みは続いているため、経済改善政策であるマイナス金利政策は今後も継続するものと考えられます。金利が上がるとしてもその幅は小さく、また急激にではなく段階的に上がると予想している金融機関が多いようです。

●不動産価格:「健美家」のレポートによると、中古の区分マンションに関しては数パーセント程度の価格下落が起こっています。逆に考えれば、今が買い時ということかもしれません。

基本的には金利が下がると不動産価格は上昇する傾向にあります。
低金利時には不動産の需要が活発化し、それに伴って不動産の価値が上昇するからです。
金利水準は上昇の兆しを見せていますが、現時点で不動産価格が暴落するという強力な要因は見当たらず、今後も一定の資産価値を維持できるのではと考えられるのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました